先日のある保育園。
私は、いつものように年長さんの和太鼓の指導に伺い、子どもたちは、秋の運動会で披露するべく、太鼓の練習に励んでいる。
この子たちは、年長組になって和太鼓ができることをとても楽しみにしていたそうで、私のテンションも体温も上がる×2。
	 
	しかし・・2カ月経ってもどうも今一つ・・太鼓は打てるけど「覇気がない」?「集中できない」?
	「体力がないのか」?「今年の年長さんは、ちょっと幼いと聞いている」・・どうも私が空回りしている気がする。
	他でもやった内容だし、特にこの年齢に難しいことをやっているつもりはないが?
	
	
	・・しかし・・これは何かちがう・・・なんとかしないといけない。とさすがに少々焦ってきた。
	
	 
	時間半ば過ぎたころ、私はふと思い立ち、ひと呼吸した後、「こんなんやってみよ」と、脚を大きく開いて両手打ちでドーン!と打つことをやり始めた。子どもたちは直ぐにのってきて、私を見ながら、でもいきなり勢いよく打ち始めた。すると、何かそれまでの憑き物が取れたかのように、子どもたちの顔に張りがでてきた。動きにメリハリが出て部屋の空気が締まってきた。このことで?・・とこちらが戸惑うくらい。

	担任の先生の顔もすぐ変わった。音が変わり、雰囲気を察したか園長先生もお部屋から出て様子を見に来られた。
	いつもは子どもたちの輪から外れることの多いT君が太鼓の面をじっと見つめて口をキッと結んで叩いている。
	その音は少し離れたところにいる私にもしっかりと伝わった。
	嬉しくてT君を見ていると、まだ太鼓の音が鳴っている間にT君は、ポケットからハンカチを取り出し、額の汗をそっと拭い、そのハンカチをきちんとポケットに入れ再び太鼓の面を見つめて打っている。
	一方、いつもは膨れっ面をしているように見えるSちゃんが、真っすぐ私の方を見て肘を伸ばし、バチが真っすぐに立て、「見て!」とサインを送っている。
	「かっこええで!」。M君も。あ、あの子も。
	 
	
		結構長い時間続けた両手打ち。最後に乱打までしてヤー!で打ちきった。
		 
		
		その後私は子どもたちを近くに座るよう促し、子どもたちの手のひらを見せてもらった。
		赤くなって豆ができていた。誉めてやるとあっと言う間に豆の自慢大会が始まった。
	
		
		私は、更に思いついて、太鼓の曲の展開のことで、迷っていたところを子どもたちに相談をしてみた。
		

それまでは、事前にこちらで考えておいたプランに沿った内容を担任の先生と打ち合わせしていたのだが、子どもたちの中に居ると、考えもしていなかったアイデアが出てきてそれをみんなに提案すると、「じゃあやってみよう」と即実行。
		子どもたちの大将になった気分で私も心から楽しんで打った。
		全員で1回でうまくできた。悩んでたことが嘘のようだった。
		 
		
		 
		振りかえってこの日、私はこの子たちのお陰で、多くの「気付き」をもらった。
		決して焦ったり、急いでいたわけではない。が、「できるはず」「これが楽しいはず」「他の子どももできたし、楽しんだ」などの自分本位での決めつけや大人同士でのプランが先行し、目の前の子どもを観ているつもりに過ぎなかった。こういうのをいつのまにか住み着く「慢心」というのだろうか・・怖いものだ。
		 
		貴重な一日に感謝。
		
		
		 
		野口です。
		このブログでは大変お久しぶりでございます。
		毎日元気に頑張っております!
		子どもたちや多くの方々との出会い、日々学びを頂いております。
		 
		
現在募集しております「2013年子どものやる気を引き出すセミナー 夏期実技講習会」では、既に大勢の方々にお申し込みを頂いており、事務局も大忙しの毎日となっております。

		今年は、講師も増え、現在張り切って準備をしております。
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		この講習は、どの講師も熱い指導と内容で、参加下さった先生方に和太鼓の楽しさを全身でお伝えしていきます。
		1回目は、7月14日(日)神戸会場からの出発です。
		例年梅雨明け蝉の大合唱がこの講習会の始まりを告げてくれるのが印象的です。
		この連休から約1か月ほぼ連日各地で講習会を行います。
		 
		私たちの和太鼓指導は、「和太鼓を使って子どもの何を育てたいか?」をキーワードにしています。
		子どもたちの育ちに役に立つためには、和太鼓をどう使ったらいいのか、どういう曲がふさわしいのかをしっかり見極め、検討すること。
 
		 
		このことを指導内容の柱に据えて講師も日々精進しております。
		どうぞ多くの先生方のご参加をお待ちしております。
		
		
		2013年7月1日
		野口 操
		 
		 
		 
		 
		 
		 
 
 
	 
 [3回]
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